尺野将太コーチ TTC 2016 Supported by UPSET

 
【TTC 2016 Supported by UPSET】
 
TTC 2016 Supported by UPSET 協力スタッフ
ゲームマネジメントディレクター
 
尺野将太
1983年生まれ、広島県出身
※TTC終了後、横浜ビー・コルセアーズのAC就任がリリースされた。
 
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■『スラムダンク』の影響でバスケをスタート
 
 
小学生時代、国民的人気漫画『スラムダンク』の影響でバスケットボールに親しみ、1994年広島
県大竹市で開催された広島アジア競技大会で日本代表の試合を観戦し、さらにバスケットボール
に関心を高める。
 
中学校入学と同時に男子バスケットボール部に入部、県立祇園北高校では毎シーズン顧問の先
生が変わるという境遇に見舞われるが、1年次にベンチメンバーとして全関西大会に出場。最高学
年として迎えたシーズンでは県大会出場を逃す。
 
学問としてスポーツを学ぶことを志し、千葉大学教育学部スポーツ科学課程に入学。高校時代の悔
しさもあり、体育会バスケットボール部に選手として入部。そこでの出会いや経験が、のちの人生に
大きな影響を与えた。
 
 
▼「指導の楽しさ」を知る
 
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大学1年生の冬、当時、千葉大学大学院生である、同チームのACを務めていた鈴木良和氏(ERUTL
UC代表)の依頼で「バスケットボールの家庭教師」にて指導を経験し、「バスケットボールを教える事の
楽しさ」を味わう。
 
大学2年次、鈴木氏が千葉大バスケ部のHCに就任、2年目の大学バスケシーズンである事や、鈴木氏
の熱意のある指導、出張指導の経験を重ね、3年、4年次は日高哲郎氏の指導を受けつつ、学生コーチ
としてチーム指導の経験を開始。
 
大学卒業後は、バスケットボールの指導をより深く学ぶため、千葉大学大学院教育学研究科保健体育専
修へ進み(専門はバイオメカニクス)、バスケットボール部の学生コーチも2年間つとめた。
 
▼スペインの育成現場を学びに。16歳のリッキー・ルビオを見る
 
2007年には、ERUTLUC代表である鈴木氏と共に、スペインの育成現場を学びに行くため、バルセロナの
バダローナにあるクラブ、DKVジュベントゥットを訪問。ルディー・フェルナンデスや16歳のリッキー・ルビオ
(その後、2008年の北京五輪での大活躍は多くのバスケファンの記憶に新しいところである)も在籍をして
いたチームであった。
 
 
(最近でも、オフの期間には、NBAやNCAAの試合観戦やコーチングを勉強するために渡米するなど、自ら
足を運んでの知識の研鑽にも余念がない。)
 
▼部活動の指導、情報分析の仕事の両立
 
大学院修了後、私立取手聖徳女子高校の保健体育教員、女子バスケットボール部のコーチとして指導を開
始する。練習試合先で、共通の師(日高氏) を持つ恩塚亨氏(東京医療保健大学)と再会した。当時、日本代
表のテクニカルスタッフとして活躍されていた恩塚氏より映像分析や情報分析の知識を聞き、高校の指導現場
へ生かす目的からも深く学ぶようになる。
 
その後、同氏の仕事の手伝いや勉強会などを通じ、アンダーカテゴリーの女子日本代表チームの大会や遠征な
どに帯同し、部活動の指導と共にバスケットボールの発展に尽力。自身も、コーチ、テクニカルスタッフとして研鑽
を続ける。
 
その後、女子日本代表テクニカルスタッフとして正式に就任すると、2013年アジア選手権優勝、2014年世界選手
権(トルコ)、2015年アジア選手権に帯同。アジア選手権で43年ぶりの優勝、世界選手権での苦戦、アジア選手権
連覇、リオ五輪出場権の獲得など、ますます注目を集める女子日本代表チームと共に歩んできた。
 
2015年アジア選手権後に代表を辞任し、2015-16シーズンは、WJBLアイシンAWで国内女子トップリーグにてテ
クニカルスタッフを務め、現在は再びコーチへと、さらにバスケットボール人としての活動の幅を広げるべく勉強を重
ねている。
 
▼若手コーチに実戦経験の場を!海外の事例をTTCに紹介
 
TTC2016では、15名近くの参加選手、それも2面同時開催のゲームの総括や、玉川学園の高等部の選手へのクリ
ニックまで担当。選手のポジションや特性を生かした均等なチーム振り分け、「ディフェンスでのコミュニケーションな
どを共にプレーする中で学んでほしかった」と参加選手の中でも非常に若いシェーファー アヴィ幸樹(TOKYO SAM
URAI AAU)選手と、ベテラン選手である栗野譲選手などを同じチームにする配置や、アウトサイドの選手を固めた
チーム構成など、様々な組み合わせで選手同士のコミュニケーションを活性化するように工夫。
 
▼高校生へのシュート指導。理論と実践で体感させる
 
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玉川大学高等部の選手に対してのクリニックでは、「目標に向かって、梯子を上るとする。でも、その梯子が目標に
向かってかかっていなければ、頑張って上ったとしても、目標にはたどり着けない」と選手に語ったうえで、シュート
の基礎理論と実技を披露。ボールの軌道、アーチ、まっすぐにボールを飛ばすことの意味や必要性を具体的な実験
で分かりやすく示した後に、様々なドリルを駆使した熱血的な指導を見せた。ナショナルチームのスタッフ経験のあ
るコーチの指導に高校生選手も目を光らせた。
 
また、TTC事務局へは、今後のさらなるバスケ界活性化のためのアイデアとして、所属チームでACやテクニカルス
タッフなどを担当しており、将来的にHCになる事を目指している若手コーチによるゲーム指導のアイデアを提唱。
 
「アメリカなどでは、サマーリーグなどの短期・中期リーグの中で若手コーチがHCの経験を積める場が整っている。
ACとHCでは役割も違うものであるし、何よりも経験が大きく作用する役職でもある。様々な場面で、なるべく早い段
階で、意欲のある若手コーチがHCとして経験を積むことが出来る場があれば、それが日本バスケット界の発展に繋がる」
 
と、欧州やアメリカなど、幅広く世界のバスケットボールに触れてきたコーチならではの提案であった。現在、それはTTC
運営事務局内で、次年度以降のテーマとして具体的に進める方向で考えられている。
 
▼可能な限りの参加選手へのサポート、フィードバック
 
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また、TTC終了後には、フィードバックを希望する選手に対してコーチ目線から感じたことを伝達する事への事務局からの
相談への協力も承諾。
 
「自分の強みはテクニカルスタッフとして、数多くのゲームを見てきたことや、世界各国のバスケットボールに触れてきたこと。
その経験を通じての感想やフィードバックが次シーズンを控える選手の参考になるのであれば、それを出し惜しむ必要はな
いし、時間が許す限り、対応したいと思います。ひいては、それが日本バスケの底上げにつながる」と、温厚な人柄ながら
も、熱い情熱を垣間見せ、意欲のある参加選手との間でコミュニケーションがなされた。
 
コーチとしての尺野氏の原点でもあるERUTLUCではジョン・ウッデンの成功のピラミッドより「勤勉( Industriousness )」と
「情熱(Enthusiasm)」を2つの理念としている。ゲーム総括や高校生への指導以外、ウェイトトレーニングセクションなどで
は尺野氏が選手の様子を観察し、トレーナースタッフの指導に耳を傾け、メモを取る風景が見られた。2日間のTTCの関わ
りの中で、どの場面でも、2つのキーワードを連想させるコーチであり、TTCにとっても非常に頼もしい協力者であった。
 
 
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(文責:株式会社アップセット 片岡)
 
 
 

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